第6章 お勉強の、お時間です
「も、もう知ってるじゃん、その顔っ」
「さぁ?」
「………っ」
「答えるまで、離さないから」
近いんだってば。
自分がいかに整った顔立ちしてるのか自覚してほしいわ。
………違うか。
知ってるから、やってるんだ。
自分の破壊力。
たち悪いったらないわ。
「…………『ノー』」
ただ、それがわかったところでこの状況を打破できるわけではない。
結局。
打破するにはこれしかないのだ。
「執事のままじゃ、やだ」
どっちにしても羞恥心は付いてくるけど、至近距離でみつめあうとか、無理。
だったらもう、覚悟を決めるしかない。
「………上出来。『大変よく出来ました』」
「は、離してよいい加減…っ」
「もうちょい」
「え」
至近距離にあったハイセの顔がさらに近づいて。
窓から差し込む太陽を遮られた、瞬間。
ハイセの唇はあたしのそれに、くっついていた。