第6章 お勉強の、お時間です
「ハイセ?」
「あなたのその、怯えと期待の入り雑じった目、癖になりそうです」
「………っ、ハイセっ」
片手で持ち上げられた顎は、真っ正面からハイセの瞳を見つめる手助けをしてくれちゃって。
至近距離に熱くなる顔を思い切り反らせば。
さらに手に力を入れて、ハイセはそれを許さない。
「言ったでしょう、逃がさないと」
「………っ」
ハイセの刺すような視線に、上昇する血液の温度を止められない。
だってしかも、眼鏡のオプション付きだし。
「………は、離しなさいハイセ、あなたあたしの執事でしょう?」
ああほんと。
可愛くない。
こんな可愛いげのない照れ隠ししか出来ないなんて、ほんとに女子力低すぎる。
「皇」
ビクン、て。
体が跳ねる。
「執事のままのが、いい?」
「………っ」
「俺は、お前の執事のままでいた方がいいか?」
顎を捕まれてて反らせない変わりに、ぎゅ、て、瞳を固く閉じた。
だめ。
恥ずかしくて直視出来ない。
「答えろよ」
「……」
ゆっくりと目を開ければ。
もう、答えなんてわかりきってる黒曜石と視線がぶつかった。