第6章 お勉強の、お時間です
すぐに離れていく唇と一緒に、ネクタイも手放せば。
驚いた黒曜石が、大きく見開かれた。
ガシャンと。
ハイセにしては珍しく、ナイフとお皿がぶつかって。
視線が自然とそちらへと向かう。
だけど。
「やっと、言いましたね」
「え?」
再度見上げたハイセは、背もたれとテーブルに手をついたまま、あたしを囲った、まま、薄く瞳を細めて微笑んだ。
「やっと認めましたね」
「あの……ハイセ?」
「そんなことは10年も前から存じ上げています」
「………え」
あれ。
笑ってるんだよね、これ。
なんだろう、気迫が。
「なのに嫌いだ変態だとあなたは」
「あ、あの……?」
1歩後ずさろうにも椅子を押さえつけられているため、動かない。
あたし、確かさっき想いを告げたはずなのに。
普通ならここでにこやかにハッピーエンドでも訪れたっていいはずなのに。
なんだろう。
寒気しかしない。
「………逃がしませんよ?」