第6章 お勉強の、お時間です
「早く着替えてくださいね」
「出てけっバカハイセっ」
タオルを片手で押さえながら平手打ちをお見舞いしようとふりかざした右手はあっけなく避けられ。
鼻歌でも唄いそうな悪魔は、脱衣場を後にした。
「……………」
着替え、と称してかごに入れられたものは。
何故だか恐ろしく見に覚えのあるもので。
一気に脱力しながらも、それ以外の方法もなく、それらに袖を通していく。
だってこのワンピースも下着も全部。
あたしの部屋にあるもので間違いないもん。
執事服といい、この服といい。
いったいいつの間に彼は運び入れたのだろう。
「………」
はじめから?
はじめから、ここにあったわけではたぶんない。
だってあの支配人、『急に』って言ったもん。
ほんとに。
完璧すぎる執事の考えも行動も。
あたしには到底理解出来そうにない。