第6章 お勉強の、お時間です
「手、邪魔」
「………っ」
知らずに後退していた足元。
背中にぴったりと感じるのは冷たい固い、壁の感触で。
ハイセは屈んで。
両手を壁に付きながら、あたしを上目遣いに見上げた。
………っ、だれ…っ、この人。
こんなに、鋭い目、してた?
こんなに艶のある表情、してた?
「…………っ、きゃぁっ」
固まりつつも、にらめっこすることほんの数秒。
先に目を伏せたハイセに少しだけ安堵した。
のも、ほんの、数秒。
いきなりあたしの体は宙に浮いた。
ハイセに抱き抱えられて向かった先はベッドの上。
しかもハイセは、しっかりと握っていたはずの着物まで、器用にも脱がせてからベッドへとあたしを横たえたのだ。
………なんで…っ、いつの間に……っ?
ってか、さっき、から……っ。
「ふ、雰囲気、ちがくないっ?」
「………」
あたしを跨いだまま、上半身だけ起こして。
ハイセは着ていたジャケットを床へと落とすと、そのままネクタイへと手をかけて、それを自然な動作で緩めた。
「………っ」
だから………っ
心臓、うるさい……っ
「執事のままじゃ、抱けないから」