第5章 愛されて頂けますか
「思い出されましたか」
「なんと、なく」
満足そうに微笑んで。
ハイセは再び車を走らせた。
『あなた、迷子なの?』
「…………」
『怪我してる』
『……触るな!』
『お医者さまに見せないと、しゅっけつたりょで死ぬわよ』
『………どーでもいい』
『そう』
『子供は寝る時間だろ』
『誰もいないもの』
『は?』
『あなたがうちの真ん前のゴミ捨て場で寝てるのが悪いのよ。暇なの。相手してちょうだい』
『出血多量、で死ぬんじゃねーのかよ』
『どーでもいいんでしょ、なら、相手できるわね』
『………こんなとこ座ったら汚れる』
『あなたも、寝てるじゃない』
「………」
『あなた、名前は?』
『…………ハイセ』
『そう、ハイセ。あなた、あたしのお婿さんになる気はない?』
『は?お前、いくつだよ』
『6歳よ』
『大人になったら考えてやるよ』
『今すぐ返事が欲しいの。答えがノーなら、このまま帰るわ』
『…………』
『ハイセ』
『…………イエス』
『決まりね、いらっしゃい』