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さぁ、お勉強のお時間です

第5章 愛されて頂けますか




「僕を拾ったのは、お嬢様ですよ」
「え」
「覚えていらっしゃいませんか?」
「………」

車を走らせること、数分。
視線は進行方向へと向けたまま、ハイセが口をひらいた。


「僕、和泉家長男ですが、跡取りじゃないんです」
「え」


窓の外へと向けていた視線を、知らずにハイセへと、預ける。


「実の母親、つまり正統な血筋である前妻は体が弱く、僕を生んですぐに他界したんです。そのあと、和泉家使用人だった今の母親が、後妻としてうちに来ました。」
「………え」
「いろいろあるんですよ、事情が。そんなわけで、弟たちの手前、幼い頃から家に居場所なくて、小中高は荒れてました」

「………」

本当ならば。
いくら後妻に男子が生まれたとしても、正統な血筋から産まれたハイセが嫡男だ。
だけど。
話の内容からすればたぶん、後継者は『弟たち』。


『事情』。


たった2文字が、すごく重い。



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