第7章 ひこうき雲
起きると既に昼になりそうな時間帯
隣の恋人に目を向けると、俺の布団も奪い取ったままぐっすり
昨日は無理させたし、まだぎりぎりまで寝かせてあげよう……
「翔さん、おはよう」
額にかかる前髪を梳いてキスを落として起き上がる
まずは昨日の寝室の後片付けからか……
汚れたものをまとめて洗濯機に放り投げて、朝食の用意をする
もう昼だけど、気にしない。
起きて最初に食べたものが朝食だもんね
庭のプランターで育てているシシトウを使おうと外へ出る
上を見上げると、一面に広がる青空
櫻「んっ……カズ?おはよ……」
「あ、翔さん。ごめん起こした?…おはよう」
櫻「んーん、平気。さすがに起きなきゃだろ」
なんて他愛もない話をしていると
あ、アレ…
と空を指さし微笑む翔さん
同じ方を向いてみると
1面の青空に、ひこうき雲が伸びていた
ひこうき雲を眺める翔さんの横顔はとても綺麗で…
愛する人の隣に居られる幸せを深く噛み締める。
この幸せがずっと続けばな、
ひこうき雲に思い重ね、伸ばされた手に手を重ねる。
微笑み合う俺たちを、陽だまりが優しく照らしていた。
Fin.