第3章 君との距離、あと5センチ
- Aside -
夢を見ているんじゃないか……
そう思えるほどゆっくりと時間が流れる。
「夢見たい……」
大「夢じゃ、ないよ……」
そう言って、繋いだ俺の手で顔を少しつねる。
顔がドアップになるほど距離が近づくと、
どくん、どくんと打つ心臓の音がおーちゃんに聞こえてしまいそうで…
手から伝わるおーちゃんの体温がじんわりと温かい。
大「……ね?」
んふふっ、と柔らかい笑顔をうかべるおーちゃんをみてまた泣きそうになる。
「ふぇ…おーちゃ、うぇぇ……」
大「泣かないで、これからはずっと一緒だから。」
そう伝えてくれるおーちゃんの声は震えているけど幸せを噛み締めているみたいで、確かに芯のあるもので。
「……時間かかっちゃったね」
大「急がば回れって言うでしょ?」
2人の体温を感じながら、この時間が永遠に続いていくようなそんな優しい空気に包まれている
ふふっ、とお互いの顔を見つめながら微笑み見合う時間が愛おしくて。
あと5センチ
離れた身体が、唇が
確かにいま、縮まった
Fin.