第2章 雑音に混ざる愛しきその声
『…火を綺麗だと思うのは初めてだよ』
ああ
『君と見られたから、だよね』
花火と歓声の音に混ざって聞こえてくる声
『…ありがとう』
…どうしよう
途端に泣きたくなってしまった。
きっとまだ怖いはず、だって貴方を焼き焦がしたものだから。私も、克服させてあげたいだなんて大それたものでも無かった。
それなのに
『 …なんて顔、してるの』
黙り込む私の頭を光忠さんがそっと撫でてくれた。その眼差しはいつの間にか私を見ていて。
本当に穏やかで、いつもの大好きな優しい笑顔で。
敏い彼は、私の気持ちをわかっている。
きっとすべてを、わかっている。
それなら…この感情の名前を含めて、どう応えたら良いのかが分からない状況も…きっと伝わっているんだろうな。
『…私も、ありがとう』
やっと言えた言葉は、喧騒に飲まれなかっただろうか。
うまく、笑えていただろうか