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【とうらぶ】我が家の燭さに【短編集】

第9章 やさしいかみさま



「......だけど」
「うん?」
「......」

普段あまり見ることの無い、言いにくそうな...なんと言えば良いのかと言葉を探しているような素振りに思わず身を起こすと慌てて光忠さんが支えてくれた。と、そのまま肩を抱き寄せられる。
そこに触れる手が震えていた。
体勢的に私と顔を合わせられない状況になったからなのか...静かにぽつりぽつりと言葉を紡ぎ出す。

「君は」
「...人、は」
「命を落とす事も、あるだろう...?」


最近、政府から刀剣男士と審神者の親密な関係性を危惧する通達が届いていた。通常の関係ならば問題は無いが所謂「恋仲」や「神嫁」とされる立場の審神者に関して神隠しなどが続出。
任務がこなせないどころか失踪騒ぎになり問題視されていると。関係を持つことに関して禁じる事は無いが、注意と共に任務への責任を持つように等々
言われてみればごもっともである。
本来の目的は歴史修正主義と戦い歴史を守ることであり、神隠しをされてしまえば通常の任務をこなす事や現世へ戻る事もできなくなる。まさかの事態だと思ったのだろう。付喪神に愛された審神者達が姿を消してゆくのだから。
正直、無縁だとは思っていた。
考えたことが無い訳では無いのだが...私は本丸で生涯を終えるつもりでおり、現世へ戻る気は無いことを光忠さんへ伝えてあったからだ。出来る限り任務をこなし天寿を全うしようと、そう思っていたからだ。彼も笑って理解を示してくれた。

けれど
本当の所は、本当の彼の気持ちはどうなのだろう...少なくとも今の、目の前にいる彼は。
...気持ちを吐露したまま私を離さずにいる光忠さんは...まるで...

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