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【とうらぶ】我が家の燭さに【短編集】

第8章 欲張りな僕ら



主は、とても極端な部分がある。

こうだ、こうしなければ...誰かにそう言われた時や、自分でそう決意した時。何か重大な決断を迫られ実行した時や更には些細なことででも。
その状況に陥ると、1つの事柄しか見えなくなってしまい他が疎かになる。

最近で言えば、白金台攻略の任務の時だろうか。
まあ、これは僕にも半分責任があるんだけどね...ずっとずっと待ち焦がれてきた貞ちゃんが遂に現れたと聞いて、同じく待ち人があった鶯丸さんとは良く話をしたものだった。
主はそんな僕の思いを汲んでくれた、それが凄く嬉しかったんだ、だけど。
難航した捜索に君を遂に壊れる寸前にまで追い詰めてしまった。
本当に申し訳ない事をしてしまったと思う...君はむしろ僕に負い目を感じていた様だけれど...。

無事に貞ちゃんが来てくれた今、もう大丈夫だろうと思っていたら、思わぬ所でその極端さが表れたのだ。





「...というわけで、次の任務の作戦は以上です。宜しくお願い致します」

執務室に、第一部隊から第四部隊それぞれの隊長が集まり主の命を仰いでいた。ひと通り話が終わると皆一声かけつつ退出してゆく。
今日は部隊長会議以外の任務は無く非番で、各自好きな時間を過ごせる日だった。戦の中とはいえ休息日が無いのはダメだという主の意から定められた制度は、初めは皆戸惑っていたが今ではすっかり定着し次の非番は何をしようかなど心待ちにする者も出る程だ。
部隊長であり近侍でもある僕は退出せず残り...主との時間を過ごしたいと申し出るつもりでいた。

「ねえ、主...この後なんだけど...」
「あ、ごめんね...これからね清光と乱ちゃんとで万屋に行く約束をしてるんだ」
「え、でも朝は何も無いって...」
「朝ごはんの時にね、急遽決まったの...ほんとごめんね」

そんな
この所、主との時間がめっきり減ってしまっている。前までは、非番を一緒に過ごしたり万屋に行く時はなるべく僕が同行をしていた。少しでも君といたくて、君と過ごす時間が欲しくて。
普段だって、主の為に時間をやりくりして側にいられるようにしていた、なのに彼女は決まって言うのだ。

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