第7章 夜を生き抜くのは難しい
「だいぶ温まってきたね」
「...ん、」
血色の良くなった頬を撫で、唇を塞ぐ。
「ふふ、甘い」
「ホットミルク、飲んでたし...」
そうだね、そうだけど...それだけじゃないかも。
もう一度唇を寄せ、今度は深く口付ける。ただ、情欲を煽る激しいものではなくゆっくり、ゆっくりと確かめるように。
...もう緊張感は抜けているのにね、口実にしてしまうくらいに僕は彼女との口付けが好きだった。
ふと、夜着を掴む手がぱたりと落ちる。今夜はこの位にしてあげようか。
「...完全に力が抜けちゃったね」
可愛いねと言いながら顔を覗き込めば、真っ赤になって瞳を潤ませる姿。睨みつけてもちっとも怖くないよ。
今度は恥ずかしさで縮こまる体を抱き締める。
もう、大丈夫
これで君は夜を越すことができるね。
眠りにつくまで、朝になるまでずっとずっとそばに居るから...安心しておやすみ。
僕が夜を過ごせなくなりそうな時は、頼りにしているね。こんな事を思うのは君にだけだよ。
かと言って、格好悪いから口にする事は出来ないけど...君はすぐに分かってしまうんだろうね。