第1章 噂
いつもより、早く。
会議が終わった。
部屋に戻ってまた、積み重なっている、
紙くずどもを片付けると思うと、
憂鬱で、寝込みそうだ。
完成した書類でも、さっさと手元から離したい。
会議後に、エルヴィンの部屋に寄ることにした。
『ここに 置いておくぞ。』
『ああ ご苦労様だな。
でも いつもより早く終わったから
今日は そこまで疲れなかっただろう。』
椅子に座りながら、少し自慢げに言ってきた。
『おおかた 策略通りだな。
でも お前に裏切られた 黒い豆どもが泣いているぞ。』
エルヴィンは、ある時から、
忙しさの眠気覚しに、珈琲にハマるようになった。
その時に買い占めた、封の開けてない珈琲豆が、
重なっておいてある。
『本当だな。
でも 紅茶に変えたから
仕事の進みが早くなったんだ。
リヴァイもいつもの紅茶じゃなくて
こっちの紅茶に変えるといい。』
そう言うと、黄色のラベルが貼ってある茶葉缶を渡してきた。
名前に見覚えがあった。