第1章 噂
その缶には、紅茶屋 フレグランスと明記していた。
そう、この紅茶屋は、俺が昔から通い続けている、
あのマスターの紅茶屋だった。
『こんなラベル缶の茶葉なんか あったのか。』
見たこともない茶葉缶だった。
『最近 売り始めたやつだ。
この茶葉のおかげで たちまちあの店は 大繁盛らしい。
彼女が来てから あそこは変わった。』
『彼女って あの看板娘のことか。』
『ああ。知ってるのか!
リヴァイも相談すると良い。
疲れの抜ける茶葉とか
筋肉疲労回復の茶葉とか
いろいろと 体調に合った 配合にしてくれる。』
エルヴィンは、嬉しそうに話す。
やたら、茶葉に惚れ込んでいるらしい。
それとも、、
その娘に惚れ込んでいるのか。
普段顔には、でないやつだが、
後者であることは、明確だった。