第8章 真実
ユカを抱き寄せようと、
腕を伸ばそうとした時、
ユカは、俺の手を振り払おうとした、
だが、それは俺には通用しない。
無理矢理抱きしめた。
俺の腕の中に入った時、
ユカは、一層声をあげて泣いた。
ユカは、分かっている。
この現実を受け入れなきゃいけないと。
そして、兵団が出す条件をのまなきゃいけないと。
だからこそ、涙が止まらない。
悔しいんだ。
悔しくてたまらないんだ。
自分は、何一つ悪いことをしていない。
身勝手に捨てられ、やっと愛してくれた親を失い、
唯一親から教わった生きる術を利用される、
自分の運命を恨むことしかできない。
普通に暮らしたい。
普通に幸せになりたい。
何度もそう思っただろう。
こんな運命を生きてきた相手に、
必ず幸せにするとか、身勝手な言葉はかけられない。
今はただ、抱きしめることしかできない。
でも、誓った。
もう二度と、1人にはさせないと。