第8章 真実
何から話せばいいか、分からない。
敏感な奴だ、
身の回りを調べられていることは、
感じていたはずだ。
『すまなかった。』
兵団が勝手にはじめたことだ、
謝ることしかできない。
『私のこと、軽蔑しましたか。』
『なぜ、そう思う。』
『生きていることを、国から認められていないんですよ。』
『そんなことで、軽蔑するわけないだろう。』
『そんなことって、それが全てなんです!!!』
ユカの口調が強まった。
身体も震えている。
言葉から、戸籍がないことで、
どれだけ苦労してきたかが、伝わってくる。
親を失ってから、1人で生きてきたんだ。
誰にも頼らず。
弱みを見せようとしない。
ユカの声が強まる。
『兵団は、私に何をさせようとしているんですか。』
『嫌なら断ればいい。』
『断れるわけないでしょ!
そっちだって、断らない、
いや、断れないって思ってる!!!
私は、道具じゃない。
誰のものにもならない。』
ユカは、涙を流す。
誰のものにもならない。
ユカの言葉が、突き刺さる。
どんな辛い人生だったんだ。
俺には、分かるはずもない。