第6章 距離
ユカは、目を丸くし驚いた顔をしたが、
すぐに笑顔になった。
『兵長さん、良ければ、そこの公園で、
オトと遊んで頂けますか。』
オトは、俺が投げるボールを走って拾いを繰り返し、
楽しそうにしていた。
『リヴァイ兵長。』
ユカが俺の名を呼んだ。
『どうした。』
『きっと、明日から、
またいい風が吹きます。
亡くなっていった仲間の、皆さんが、
リヴァイ兵長にいい風を吹かせてくれます。
いつも見守ってくれています。』
仲間の死には慣れているはずだが、
その言葉は、優しい気持ちにさせた。
ユカを思わず抱き寄せた。
嫌なら、避けられただろう。
ユカは、そのまま腕の中にいた。
ゆっくり、ユカの顎を持ち上げ、
ユカの瞼が閉じた。
俺たちは、
初めて、
口付けをした。