第2章 彼女
また風か。と素直に思った。
見た目は、美少女に間違いないが、明らかに変わった奴だ。
『兵長さん。
痛みに効く、茶葉も入れておきました。
オレンジの茶葉缶です。
あと、この前マスターが入れた黄色の茶葉缶も入れておきますね。
団長さんから、幹部がきたら渡すように、
申しつけられておりますので。』
突っ込みたい情報が山ほどある。
『エルヴィンの話は、ともかく、
痛みはどういうことだ?』
『右手首、傷ついてますよね。効きますから、飲んでみてくださいね。』
昨日の訓練で、部下の失態を防ごうとした時、
手首に部下のブレードが飛んできた。
だが、服の下に包帯を軽くまいてあるだけ、
普通にしていたら、気付かないし、気付かれない。
『よくわかったな。』
俺が呟くと、
娘は近づいてきた。
俺の洋服を肘まであげた。
誰にも心配させまいと、医務室に行かなかったため、
自分で適当に巻いた包帯が乱れていた。
部下にバレると、気にして、訓練に参加しないとか、
言い出しそうだったからだ。