第2章 彼女
この前、マスターから貰った茶葉も、
全て飲みきりそうになってきた。
今日は、珍しく、訓練が早く終わった。
兵団服を着替えて、街に出る。
カランカラン
『いらっしゃいませ。』
優しい声が聞こえた。
いつものドスのきいた、マスターの声じゃない。
あの娘が1人で店番をしているようだ。
『兵長さんですね。はじめまして。ユカです。
いつもの茶葉ですよね。
少しお待ちください。』
対応が素早い。
『俺を知っているのか。』
『ええ、勿論ですよ。常連様ですし。
それに、この前の夜、店の近くまでいらしてましたよね。』
『気付いてたのか。邪魔してすまなかったな。
にしても、だいぶ遠くで引き返したつもりだったが、
よく俺だって分かったな。』
『風が教えてくたので。』
会話が途切れた。