第18章 明後日
街の飲み屋に入る。
街では、評判のユカだから、
店にいる奴は、みんな驚いていた。
声をかけてくる者もいれば、
ユカを凝視している奴もいる。
声をかけてきたどの奴も揃って、
ユカが、前より明るくなったって言ってた。
ミステリヤスな高嶺の花から、
親しみやすい高嶺の花になった。
良いことだろうが、心配事はなくならないな。
俺達は、酒を飲んで、たわいもない話をして、
笑って、
たまに、冗談も言って、
恋人らしい夜を過ごせた。
心から幸せだと思った。
家までの帰り道、手を繋いで帰る。
ユカは、あの星は、何座だとか、
あれは、北極星だとか、
上を見上げていろいろと言葉にしていた。
楽しそうでなによりだ。
ふと、思う。
『地下のゴミ貯めで生きていたからな。
空が羨ましかった。
風とか、草木とか、花とか、
意識して生きてこなかった。』
ユカは、俺の言葉を真剣に聞いている。
『お前は、自然そのものみたいだな。
星空とか青空とか、大地全てを感じている。
そんなお前が、愛おしくてたまらない。』
ちょっと、酔っているせいもあるのか、
饒舌になっている自分がいる。
『私はね、リヴァイは風を運んでくると思ってるの。』
『風か。』
『リヴァイから、いつも良い風が吹いてる。
幸運の風よ。
私もその風に吸い寄せられて、
こうして、幸せだと思えてる。』
『そうか。』
満天の星空の下、
俺たちは愛を確かめ合った。