第17章 恋人
ユカが兵舎から去る時、
花壇を作っていった。
季節の花や植物が咲くから、
私に毎日逢えないかわりに、
手入れは欠かさずやれとのことだ。
あいつもなかなか粋なことしてくる。
そういうことで、
俺は朝一、ジョウロに軍手やスコップといった、
のん気な雰囲気を醸し出して、
花壇の手入れをするようになった。
人類最強が何やってんだ。
随分と悠長なことさせやがる。
だが、それは、奪還作戦が近づく中、
俺はユカの紅茶と花壇で、
一瞬でも落ち着く時を得ることになった。
そろそろ2週間近くになる。
あいつのことだから、必死にやってることは間違いない。
変な虫が寄ってこないかだけが、心配だ。
会議が夜になるから、夕方少し時間が空く。
オトを連れて、病院の様子でも見に行くか。
そんなことを考えていた。