第17章 恋人
ユカは、兵舎を離れて街の病院に、
勤務することになった。
部屋の片付けを手伝いにいこうと訪れようとしたが、
もれなく先客がいやがる。
『君がいなくなるのは、とても寂しくなるな。』
『時間がある時は、顔出します。』
『ああ、そうしてくれ。
これからが君の新たな人生だ。
色々と苦労が絶えないだろう。
仕事も恋愛もな。』
ユカは、楽しそうだ。
以前より、よく笑うようになった。
笑顔は、あいつをより綺麗にさせる。
『リヴァイは、かなり嫉妬深いからな。
嫌気がさしたら、いつでもくるんだ。
君なら、大歓迎だからな。』
エルヴィンのやつは、俺が廊下で、
盗み聞きしているのを、分かってて話してやがる。
『私のが、全てが初めてなので。執着しそうです。』
意外な言葉だった。
素直に嬉しい。
『おい。お喋りはそこまでだ。
エルヴィンは執務の、お仕事だ。
ユカの手伝いは、俺がやる。』
『残念だ。2人だけの時間が。』
エルヴィンは、そう言うと、
ユカのおでこに軽く口付けをして出て行った。
俺が居る手前だ。
挑発している。
不機嫌な顔をしていても、
ユカはお構いなしだ。
『いい風ね。』
俺より、相変わらず草木や風に夢中だ。
『聞いてる?』
『ああ、いい風だな。』
しばらくは、ユカのペースに振り回されるだろうな。