第5章 命を賭けた恋愛中継
No side
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次の日
降谷との待ち合わせ場所へ向かうと見慣れた白いスポーツカーがみきの目に止まった。降谷はみきを見つけると助手席のドアを開け、乗車を促す。
「悪いな、急に呼んで」
『ううん』
降谷はそう言いながら、助手席に着いたみきと少しばかり言葉を交わした。
「…さっき伊達の墓参りに行ってきた」
『!…そっか…』
みきは今の降谷に伊達の死について触れていいのか分からず困っていたため、降谷からその話を振られ少なからず動揺した。しかし、一年越しとは言え降谷が伊達の墓参りに行けたことに胸を撫で下ろした。
『伊達くんの恋人だったナタリーさんって覚えてる?』
降谷から伊達の墓参りの話を聞き、安心はしたもののどこか暗い表情のみきは降谷に質問をした。
「ああ、よく皆で伊達の彼女の話してたな…」
『そのナタリーさんがね…
伊達くんが亡くなってすぐ自殺してしまったそうなの…』
「え?」
驚きを隠せない降谷の目を見つつ、みきは彼女が亡くなったことを知った経緯を降谷に話した。
『もしナタリーさんに伝えられていたら…』
みきは目に涙を浮かべながらそう呟いた。
「いや、彼女はわかってたみたいだよ…」
『え?』
「さっき墓参りに行ったって言っただろ
帰り際に高木刑事と女性の刑事さんが伊達の墓前にいるのを見かけたんだよ
その時会話が聞こえて───」