第5章 命を賭けた恋愛中継
“「だいぶ遅くなっちゃいましたね…
伊達さんの墓参り…」
「凍傷とか色々ヤバかったもんね…」
「仕方ないですよ…
自分があの日、交通事故で伊達さんが亡くなった事をちゃんと彼女に伝えていればこんな事には…」
「バカね…
知ってたわよ、ナタリーさん…
伊達さんが亡くなった事…」
「え?」
「伊達さんの両親が覚えていたのよ…
病院に遺体確認に行った時…
部屋の外に涙をいっぱいに溜めたハーフの女性が立ってたって…
伊達さん、あの日の夜
彼女の親に挨拶をしに北海道へ行く予定だったそうだから…
伊達さんの両親も連れてって、そこで彼女を紹介したかったみたい…
だから高木くんのせいじゃないって…」
「…でもこの指輪は彼女に渡したかったです…
伊達さんがこの指輪が挟まっている警察手帳を僕に託したのはそういう意味だったでしょうから…」”
「──そう言って高木刑事は伊達に託された指輪を眺めていたんだ…」
『…っ、じゃあナタリーさんは分かってて…』
みきは降谷の話を聞き、驚きを隠せず目を見開いた。