第5章 命を賭けた恋愛中継
光彦が残念だと言うと、後ろからそれに賛同する言葉が聞こえ、後ろを振り返ってみると、そこには安室さんがいた。
「毛利先生から聞いてたんだ
今日、君たち少年探偵団が阿笠博士の車で警視庁にパンフレットの撮影をしに行くって
丁度僕も警視庁に来るように言われてたから
もう終わったんだけどね」
安室さんは話しながら、俺たちの方へ向かって歩いてきた。
「え、なんて呼ばれたの?」
俺が聞くと、以前俺を誘拐した事件で安室さんが自身の車をぶつけて止めた一件、やりすぎだったのではないかと再度事情を聞かれたという。
「(そういや、世良も警視庁にまた呼び出されたって言ってたな
ま、あいつの場合は100パーセントやりすぎだけど…)」
俺はそう思いながら、世良の犯人を自身のバイクで吹っ飛ばした時のことを思い出した。
「まぁここに来たのは別の用があったのもあるけど…」
「別の用って?」
「いや、気にしないでくれ
もう用はなくなったから…」
そう言って安室さんはスタスタと歩いて行ってしまった。俺たちは不思議そうに、その背中を黙って見つめた。
「?(安室さん、どうしたんだろう)」
「おい、コナン
誰だよ、あの兄ちゃん!」
元太が、安室さんの後ろ姿を追いながら俺に質問をする。
「小五郎のおっちゃんに弟子入りした探偵だよ」
そう俺が答えると、元太だけでなく光彦や歩美も安室さんの後ろ姿を目線で追いながら、それぞれ思っていることを口に出した。
俺たちが安室さんが見えなくなっても、そちらの方向を見て話していると…