第3章 探偵たちの夜想曲
–––––それは、一瞬の出来事だった
ドアの扉に隠れて何かしようとする車の運転手と、追い越し途中に何をしているのか覗き見た降谷くんの視線が僅かな間に交錯した。
けれど追い越しが終われば降谷くんも前を見ていて、ターゲットを追い越すと彼は私たちにまた指示を飛ばした。
「毛利先生はそのままシートベルトを締めていてください
蘭さんはシートベルトを外したら毛利先生のそばに!みきさんも蘭さんと同じように僕の方へ寄ってください!」
『え?ええ…きゃっ!』
「なっ…!!」
降谷くんの指示に従って私が慌ててシートベルトを外すのを見て、後ろの蘭ちゃんも急いでシートベルトを外し小五郎さんの方へ寄った。そしてシートベルトを外した私の方を思い切り自分の方へ引き寄せた降谷くん。
私と頬を赤らめた蘭ちゃんがそれに驚いた途端––––
降谷くんが突然ハンドルを回し、コナンくんたちの乗る車の前に出ると助手席側にぶつかるようにして車を止めたのだった。
ドゴッ!!
そんな音とともに、降谷くんの車は大きく凹み青のスイフトを無理やり止めた。
すると、車から手に拳銃、コナンくんを人質にとった凄い剣幕の女が突然の出来事に困惑しながらも姿を現した。
それはパソコンの写真に写っていた強盗犯の一人・手川隆代だった–––
「何なのよ、あんたたち!?」
女はひどい興奮状態でそう私たちに叫んだ。