第3章 探偵たちの夜想曲
【───なお、この時犯人をなだめようとして射殺された銀行員・庄野賢也さんの通夜が昨晩行われ、庄野さんの勇気ある行動に心打たれた───】
「こ、この人…
圭さんの携帯の待ち受けに映ってたお兄さん…でも、なんで苗字が違うの?」
テレビのアナウンサーの声を聞きながら、殺害された庄野さんの写真を見た蘭が声を上げた。
そして小五郎もこの録画に異変を感じたようだ。
「それに変じゃねーか?
ここに住んでたのが圭さんの兄なら、今朝のニュースが編集できるわけねぇぞ!?」
「まぁ、住んでいたのが誰にしろ、こんなニュースやワイドショーをわさわざ録り溜めているという事は…よほどの犯罪マニアか…犯人に復讐を目論む被害者遺族か、もしくは…強盗犯本人と考えたほうが自然ですよね?」
「た、たしかに…」
あまりに頭が回る弟子にかすかに圧倒されている小五郎。
そして、「とにかく、もう少しこの部屋を調べてみましょう…」と寝室のパソコンに向かおうと安室がリビングを出ようとした時、蘭が呼び止めた。