第3章 探偵たちの夜想曲
先ほどの寝室に近づくにつれ、遺体発見当初より臭いが収まっているのに気付きながら、窓を開けてすっきりしたという小五郎たちに安室が声をかける。
「それより妙ですよ、この部屋…」
「あん?妙って何が?」
「下駄箱には男物の靴しか入っていませんし…
洗濯機もクローゼットの中も、男物の衣類ばかり…」
「じゃあこの部屋に住んでたのは圭さんの兄だけだったってことか?」
「(…っていうか、この短時間でそこまで調べたの…)」
『それはまだ分かりませんが…ここの部屋の住人が先日起こったある事件に注目していたのは確かですね…』
「あ、ある事件…?」
みきの言葉に蘭がそう聞き返すと、同じく不思議そうな小五郎と顔を合わせた。
すぐさまリビングに向かったみきたちは、テレビの前に来るとリモコンで録画の画面の開いた。
「ホ、ホントだ…
この前の銀行強盗事件のニュースやワイドショーばっかり立て続けに録画してる…」
「しかもその事件のコーナーだけ切り取って編集してるな…」
小五郎がリモコンで録画したものを再生すると、今朝流れていたニュースが映った。
犯人は小柄な人、痩せた人、がっちりしていた人の3人。がっちりしていた人が発砲していた場面も映っていた。