第3章 探偵たちの夜想曲
No side
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「何で遺体がスーツケースに入ってんだよ⁉︎
–––ってか誰なんだこの男…」
開いたケースの中で、丸まって入れられていたのは誰とも知れない男の遺体だった。
安室は遺体にそっと触れ、検証を始める。
「わりと小柄な男性ですね…
死因は撲殺…死後1日強って所でしょうか」
「思った通り、盗聴器はこの中に入っていたが…」
「と、とにかく、家主の圭さんに話を聞いてみよ!」
「その事なんですが…
彼女はもうここにはいないかもしれません」
「ええっ⁉︎」
蘭は安室の言葉に驚きを隠せない。安室は蘭の驚きを横目にそのまま言葉を続ける。
「さっき玄関を通った時に、彼女のブーツはありませんでしたから…
その時は玄関にしまったのかと思ったんですが…もしかしたらこの遺体が見つかるのを恐れて逃げ立った場合も考えられますし…」
「じゃあこの男は圭さんが殺したってのかよ⁉︎」
「それはまだ断定できませんが…なぜかコナンくんの靴も無くなっていたのも少々気になりますね…」
その発言に誰より驚いたのは蘭だった。
すると、小五郎が樫塚 圭に遺体のことについてメールで送ったらしく、なんと小五郎の携帯にその返信がきた。
そして、全員がメールに注目する中、小五郎が文章をスクロールした。
【メールが来たという事は遺体を見つけたんですね?このボウヤは夜が明けたら解放するつもりですが…警察に通報し私の逃亡を邪魔するおつもりなら、このボウヤの安全は保障しかねます】
そんな文章とともに、画面の上の方には薬で眠らされたらしいコナンの写真があった。