第3章 探偵たちの夜想曲
上着の内ポケットからそれを出すと、小五郎さんはメールを声に出して読んだ。
「えーっと…
【今日、そちらに伺う約束をした樫塚 圭ですけど…こちらの都合でお会いする場所をレストラン"コロンボ”に変えたいのですが…その店ならそこから割と近いですし、時間通りにお会いできると思いますので…OKかどうかお返事お待ちしております…】
––––って面倒臭ぇ、断っちまうか…」
「ダメよ!
せっかくのお客さんなんだから…」
面倒くさそうに携帯を眺める小五郎さんに蘭ちゃんは喝を入れるように言った。
「それに私たちもお昼まだだからコロンボで済ませてもいいしさ!
よかったらみきお姉さんもどうですか?」
『皆さんが良ければご一緒させていただくわ』
「じゃあこのサンドイッチはどうすんだ?」
「これは夕食用に冷蔵庫に入れておけばいいじゃない!」
「けっ…晩飯サンドイッチかよ…」
サンドイッチを事務所の奥に持っていった蘭ちゃんに不満たらたらな小五郎さん。
すぐに戻ってきた蘭ちゃんは小五郎さんの吸うタバコを見て
「お父さん、タバコの灰落ちそう!」
「あ?……あ」
「もう!お父さん気をつけてよ!
火事になったらどうするの!?」
忠告虚しくテーブルに落ちてしまった灰を、灰皿に落としていく小五郎さん。
「もっとも、うちの家計は誰かさんがサボってるおかげで火の車寸前だけどね!」
「あ、そのシャレおもろい…」
「では毛利先生、僕もその依頼人との会合に出席させてもらってもよろしいですか?ちょうどポアロのシフトはお昼までですし」
「いいけど…同席するならちゃんと授業料払えよ?」
なんと降谷くんも一緒に行くことになった––––。