第2章 始まり
いや、1人じゃない....湊兄がいる....
そっと髪飾りに手を伸ばした....1人じゃない....1人じゃない
食器を片付けて月に照らされてる道を歩く
あの、息苦しい家から出たかった....
今夜は満月か....綺麗だなぁ....
『いつか湊兄とあのお花畑からみたいなぁ....』
そんな日が来ますように....
家に入ろうとすれば声をかけられた
総悟「おい!」
振り返れば鋭く私を睨む兄上だった
『....兄上』
総悟「お前むかつくんでさぁ!姉上に喋りかけられて笑ってんじゃねぇぞ!ほんとにうっとうしいんでさぁ!」
なんで、何もしてないのにそこまで言われなくちゃならないの
どうして、私の存在を否定するの
『私は....私は何か兄上にしましたか?どうしてそんなに私を嫌うんですか』
総悟「目障りなんでさぁ!俺達の前から消えろ!」
私は気がついたら走っていた
足は自然と湊兄の家に向かっていた
今まで家のことだってやってたし
何も悪いことなんてしてないのに
どうして!どうして!
『湊兄!!』
泣いてる私をみて驚いた顔をしたが涙をそっと拭って私を抱き上げて家に運んだ
ゆっくりと何があったのかを話した
私が鳴き出すたびに優しく抱きしめて頭を撫でてくれた
『なんで、私なんか生まれちゃったのかな?....必要ないなら生まれなかったらよかったのに』
泣きながらそういえば頭を撫でられた
湊「そんなこと言っちゃダメだ....ヨツバはちゃんと愛されてる....生まれてこなかったら俺は可愛い妹に会えなかったんだ....」
そう言って悲しげに笑った
湊「父さん達が死んで絶望してた俺に生きる元気をくれたのがヨツバだった....俺を幸せにしてくれたのはヨツバだ....生まれてきてくれて、愛してくれてありがとう.... 」
『私、湊兄を幸せにできてるの?』
湊「ああ、父さん達が死んで俺は人生を諦めてたからな....また、こんなに幸せになれるなんて思わなかったよ」
『湊兄....私も湊兄に会うまで幸せだなんて思ったことなかった....』
私は湊兄に抱きつきながら眠った
湊「おやすみ、ヨツバ」
とっても暖かくて安心する....幸せ......