第2章 出会い
ブロロローー…
荒れた山道で一台のジープが走っている。乗っているのはあの噂の四人組だ。
「…なーなー、まだ着いていないかよ〜?俺、もう腹へったぁ〜」
後部座席で座っている少年ーー『孫悟空』が文句を上げている。500年前、天上界で大罪を犯し岩牢を長い間閉じ込められた。その正体は額で被っている金鈷を外すと禍事の証たる金晴眼を持ち大地の気を吸って生まれた異端の妖『斉天大聖』と呼ばれる。
その隣はーー
「お前はいつもそればっかり言うのかよ、猿が!」
「猿って言うな!このエロ河童!」
悟空と文句を叩き合う長い赤髪の男性ーー『沙悟浄』。
妖怪と人間の混血、赤い髪と赤い瞳を持つ禁忌と呼ばれる遺伝子を持つ者。そのせいで幼い頃、義母親から虐待されてしまう。
「あはは…やっぱりいつもこうなりますよねぇ〜」
喧嘩し始める二人の声を聞きながら運転する優しそうな男性ーー『猪八戒』が小さく笑う。
その昔に姉であり恋人である花喃が妖怪によって殺された衝撃で人間から妖怪へと体組織そのものを変化させてしまう過去を持つ。
ーーブチッ
「〜〜〜だから運転中に騒ぐなと言ってんだろーが‼︎ぶっ撃たされてーのか⁉︎」
ガチャ!
「「待った‼︎その距離は当たるーー‼︎」」
座っている男性が助手席から立ち上がり、騒ぐ二人に向かって銃を差し出すと慌てて謝る。
物騒なものを持っている男性ーー『玄奘三蔵』。肩書きは『第31代唐亜玄奘三蔵法師』と『北方天帝使』に呼ばれる。『魔天経文』を持つ、最高僧『三蔵法師』の一人だが、仏道のルールを気にせずに自由をしている。一応は三蔵一行のリーダーとして務めている。
そんな三蔵一行は目的の牛魔王蘇生実験を阻止するために西域・天竺国を目指して旅に出ている。
三蔵「ーったく!」
八戒「まあまあ…もうすぐ町に着いているはずなんですけど、地図とは違ってこの辺りでは地形が変わっているようですね」
悟空「え、という事は?」
八戒「…野宿の決定になりますねー」
「「はぁああぁ⁉︎」」
八戒の言葉に絶望の声を上がる悟空と悟浄。
悟空「っあーーーっ、やっぱりこうなるよなーー……ん?」
ため息を吐く悟空にふと上空の辺りを見ると小さく声を上げる。