第2章 出会い
バサバサッ!
ーーカアアッ!
「ーーやっと表舞台を出てくれたね、ボクの『姫ちゃん』。…さあ、ボクを楽しませてくれるかな?」
ゴオッ…!
「…うぬぼれるなよ、烏哭。『アレ』は私のモノだ、いくらそなたでも『目的』の邪魔したら許さぬ」
「…分かってますよー邪魔はしませんよ。ちょっとだけでも遊んでたらいいでしょう?」
「…ふん、気の喰わない男だ」
ーーフッ…
「…会う度に周りがすごい気迫が彷徨うんだよね。やっぱり恐ろしい人…『異世界の魔女』。ボクでもあの人の情報が取れない…謎のお方だな」
初めて会った時はあの人からそう名乗っていた。『目的』は恐らく『桜の騎士』と呼ばれるを狙っているが、何をするか魔女しか知らない。
「あの人を適うなら…『姫ちゃん』しかいないかもね」
小さくため息を吐いてからくいっとメガネをかけ直すとある所へ歩き始める。
「…さあ『桜の騎士』と『異世界の魔女』の運命にこの桃源郷がどう影響を及ぶだろうか。…貴方ならどう思うだろうね?ーー光明三蔵法師」
そう言う男ーー烏哭三蔵法師は不気味そうに小さく笑う。
バサバサッ!
烏哭の上空にカラスたちがあちこち飛び回る。たくさん黒い羽を舞い散る中、消えていったーー
「…私の『目的』の為、たっぷり働いてもらうぞ。ーー」
一方、薄桃色の長い髪と紅い色の鋭い瞳を持つ魔女は魅力ある薄笑いを浮かべて長い杖を持ち直すとどこかへ歩いて行く。
桃源郷の『光』と『闇』…『桜の騎士』はどちら進むのだろうか。ーーそんな彼女の道を導くのは玄奘三蔵一行だけだ。