第2章 出会い
と葵は三蔵たちの言葉に思わず顔を見合わせると葵に抱き上げ、三蔵たちの方を見る。
「…貴方たちのお誘いは嬉しいんですが、私たちと一緒にいたらもっと大変な事になりますよ」
三蔵「…どういう意味だ?」
「言葉の通りです、もう貴方たちも見たでしょう。私の能力が、恐ろしいですよ…」
「!」
八戒「…なぜ、恐ろしいなのですか?」
「…私が赤ちゃんの頃、教会に捨てられました」
「「「「!」」」」
「教会が拾われてから育ててくれてましたが、11歳になって突然この能力が覚醒したせいで育ててくれた教会が私に金で売ろうとしたんです…」
悟空「…なんだよそれ、酷いじゃねえか!」
「…その情報に牛魔王の手先まで伝わり、私が育てくれた町が燃え、更に一緒にいた葵が喋る事がバレてしまい私たちに捕らえようとしていました」
悟浄「…むごいな」
「なんとか妖怪たちから逃げ切れ、捕まえないように密か隠れて旅しながら生活を支え、ここまで生きてきました」
「でも、あちこち逃げてもすぐ妖怪たちが見つかるから毎回旅に出るんだよ」
「「「「………」」」」
彼女の過去を聞いた三蔵は言葉をなくした。その能力のせいで育ててくれた教会が裏切り、牛魔王の手先まで狙われる羽目になり誰も頼らず一人の少女と猫だけでここまで生きてきたとはとても、辛かっただろう。
「…私たちに一緒にいればきっと、不幸になりますよ」
「……」
そう言った珱は葵を強く抱きしめ、顔を下へ向いた。そんな彼女を心配そうに呼ぶ葵。思い浮かべるのは妖怪たちが自分に育ててくれた町を襲い、更に町人たちから自分に向けて罵倒された。
『ーーお前のせいで町が燃えた!』
『俺たちの代わりにお前が死ねばいいのに!』
『その能力のせいで不幸したお前が悪い!』
能力が覚醒したせいで妖怪たちから狙われ、町の罪なき人々も巻き込まれてこの世に去った事で彼女が背負うのはあまりにも重い。だから、三蔵たちまで巻き込むのはもう二度と見たくない。
三蔵「…だからなんだ?」
「……え?」
「!」
三蔵「その能力のせいで不幸するとはそんなの俺は関係ねぇ。もうとっくに昔から色々なものを背負わせたんだよ」
そう言う三蔵の表情は恐怖が表していない、覚悟を決めたような表情だ。