第9章 獣化注意報〜降谷の場合〜※
私は降谷零のただの協力者で
警察でも何でもないただ一般人だ
組織が壊滅する前に
開発されたという、とある薬が
流出してしまっていて
その経路を調べていた所
運悪くその薬を投与されてしまった
降谷さんが言うに
その薬の効果は
獣の耳が生え
強い催淫効果が体を襲うらしい
体が熱い……
片手間でスマホを取り出し
降谷さんにメッセージを入れる
薬の流出場所のマップを転送した
スマホを閉じ
路地裏で蹲った
歩くのもままならない
落ち着いたら動こう
そう思い暫く膝を抱えていた
夜風が体を撫でる
心地良い…
頭に手を伸ばすと
髪とはまた別の感触があり
直ぐにそれは獣の耳と理解する
再び膝を抱え蹲った
どうしよう…
その時、頭の上に
パサっと何かを被せられた
降「見つけましたよ…
全く、貴女は無茶をする」
顔を上げると
降谷さんがジャケットを
頭の上に被せてくれて
「立てますか?」と
手を差し伸べてくれていた
私はその手を取ると
引き上げられその場に立ち上がったが
脚がふらついて降谷さんの
体にダイブした
降「随分薬が回っているみたいですね
取り敢えず、
その頭を人に見られるとまずい…
僕の車まで我慢して下さいね」
途端、私の体は宙に浮き
直ぐに降谷さんに姫抱きされていると
把握する
恥ずかしさが私を襲ったが
抵抗している余裕なんて無かった
そのまま近くに停めていた
降谷さんの車まで来ると
後部座席に寝かされる
ジャケットを両手で
握り締めて
どんどん荒くなる呼吸を
必死に落ち着かせようとしたけれど
上手く出来なくて
降「まるで発情期の猫みたいですね」
降谷さんと私の関係は
物凄く曖昧で
どの部類に属するのかと言うと
セフレに近い…と思う
何度か体を重ねたが
お互い「好き」だと
口に出した事が無い
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