第8章 ダチュラ/沖矢※
体が重い…
でも、ここから
逃げないと…沖矢さんは危険だ…
気怠い体起こして
ベッドから抜け出そうとした
その時に気付いた
ジャラリと重い足枷で
繋がれている事を。
長い鎖の先は
ベッドの柵に繋がれていて
外せそうにない
恐怖が押し寄せた
急に頭が冴えてくる
冷静に、この鎖を
断ち切る方法を…
私はサイドチェストの
引き出しを上から順番に開けていく
二段目の引き出しを開けたとき
一瞬体が固まった
密閉された袋に入った
ショーツが入っていた
その下着には見覚えがあった
前に沖矢さんに借りた下着だ
あれはゴミ箱に捨てたはず…
……今は考えてる暇なんてない
ペンチか何か探さないと…
焦りながら
私はパソコンが置かれた机の
引き出しに手を伸ばした
『…ハサミ……』
ハサミを手にして
床に座り、繋がれてる鎖に
向かって突き刺した
繰り返せば、鎖が外れるかも…
そう思った時だった
部屋の扉が開いた
沖「ああ…ダメじゃないですか…」
ゆっくりと近付いて来る沖矢さん
その顔は笑ってはいなかった
私の手にあったハサミは
取り上げられてしまい
腕を掴まれ、立たされると
ベッドに放り込まれ押し倒された
沖矢さんは手にしたハサミを
高く振り上げる
咄嗟に目を強く瞑った
ズサっと鈍い音がした
が、どこも痛くない
ゆっくり目を開けると
笑った沖矢さんの顔
そして私の顔の横に突き刺さった
ハサミがあった
沖「…貴女が私の元から
逃げ出すと言うのなら
このまま私の手で貴女を殺します…
さあ、選んで下さい。死か、私か…」
全身が恐怖で震える
このままじゃ…殺される…
私は震える唇を必死に動かした
『…お…きやさん…を、
…えらび…ます…』
沖「はい、良く出来ました」
そう言い沖矢さんは
私の体を起こして優しく抱きしめた
悪夢は終わらないまま
END
2020.02.25
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