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【R18】Zeus【コナン短編集】

第5章 Blood/赤井※





私は平々凡々な日々を過ごす
ただの社会人だった


それはある日一変する


仕事帰りの遅い時間に
町外れでブロンドの髪の
綺麗なお姉さんが
やってる献血に協力をして
帰路に着こうとしていた時


路地裏から奇妙な声が聞こえた


呻く様な苦しそうな声


まさか、幽霊…?


幽霊など、人生で
一度も見たことがない私は
ついに見えてしまうのかと思った


恐怖心より好奇心の方が勝ち
ゆっくりと路地裏に入り
声がする方へと足を進める


物陰からそろりと顔を覗かせて
様子を見れば胸に手を抑えて
苦しそうに地面に
座り込んでいる男性の姿


助けなきゃ…!


私はそのニット帽を被った男性に
走って近づいた


『だ、大丈夫ですか…!』


男性の肩に手を置いて
膝をつきながら
何処か怪我でもしているのかと
体を確認する


その瞬間、バッと肩を掴まれ
大きな手で口を抑えられ
体が硬直する


鋭い真っ赤な瞳が
私の姿を捉えた


赤「死にたくなければ静かにしろ」


何とも言えない恐怖心が
体を支配して
私は目を大きくさせながら
必死に頷いた


スッと口元と
肩から手が離される


彼の顔を見ると
酷く汗を流していて呼吸も荒い


そのまま視線を下へ移すと
服の一部が湿っている様に見えた


ゆっくり手を伸ばしそこに触れると
生暖かくぬるっとしたものが
指先に付く


まさか…血…?
やっぱり怪我してる…!


薄暗い路地裏で
黒い服を着ていたから
全く気付かなかった…


肺辺りから
血が止めどなく溢れている


このままじゃ…死んじゃう…


医療の事なんて何も知らない私は
慌てながらカバンの中に入っていた
タオルで傷口を抑えつけた


白いタオルは見る見るうちに
血を吸い上げ真っ赤に染まる


『…どうしよ…止まらないっ!』


赤「静かにしろと言っただろ…」


『でも…』


その時、コツコツと
革靴を鳴らす音が何処からか聞こえてくる




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