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【R18】Zeus【コナン短編集】

第1章 堕ちていくだけ/ジン※




ジンの車に乗り車が発車する


まだ朝日は登らない朝方
もう春だと言うのにこの時間の気温は
10℃を下回る


私は小さい頃にこの組織に拾われ
もう何年もの月日をこの組織の中で
過ごしている


血と硝煙の匂いが
私にこびり付いて離れない


毎日見る悪夢
死者の呻き声


もう私は人では無いのだろう
そんな錯覚に陥っていた


黒いコートのポケットから
取り出したセブンスター。
一本取り出して口に咥え
車の窓を少しだけ開けた


銀色のジッポがシャッと音を奏でる


だが中々火が付かなくて
オイルが切れている事に気付いた


隣で運転しながら
片手間でジッポを渡してくれるジンに
ありがと、と小さく礼を言う


漸く咥えたタバコに火を付けた


紫煙を燻らせながら
窓の外に視線を移す


まだ外は暗く朝日が昇る様子も無い


朝は嫌いだ
闇に身を置いていると
太陽がやけに眩しく感じるから…


このまま朝が来なければいい


この世に対しての不安と不満が
心を、脳を埋め尽くす


『ジン…』


ジ「どうした」


『今日は一人になりたくないから
一緒に居てほしい』


ジンの顔を見れば
少し驚いた顔をしていた


ジ「…らしくねぇなぁ」


短くなったタバコを
火消しにさして車の窓を閉めた


ぽつりぽつりと
私の気持ちを表したかの様に
雨が降り始める


雨の中停車する車
ジンが宿泊しているホテルに着く


然程高くもないホテル
ジンは決まった家を借りたりせず
ホテルを転々としている


家を借りると寝ぐらを
変える時が面倒だとか何とか…
そう言うところはジンらしい


愛用のベレッタさえ有れば
生きていけそうな人だ


ホテルの部屋に入ると
シャワー借りるね、と
そのままシャワールームに入った


体にこびり付いて離れない、
血と硝煙の匂いを洗い流す様に
頭からシャワーを浴びる


この暗澹たる気持ちも
洗い流す事が出来ればな…



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