第1章 坂田銀時 やっぱり敵わない
それって…
唖然としていると、机の上にドンッと何かが置かれる。
二つのワイングラスと…
「ロゼワイン?」
「たしか、好きだったろ?」
そう言うと、銀さんは私の前に跪いた。
「もう少し雰囲気を作ってから言うつもりだったのによ。いきなり核心に触れるような質問されたら、今言うしかねーじゃねぇか。」
銀さん、耳まで真っ赤に染まってる。
もしかして、もしかしなくともこれって…
「俺とせっく…「いや、言い方ストレート過ぎるでしょ!」」
しまった。せっかくの告白の場面で思わず突っ込みを入れてしまった。
だって告白にしてはあまりにも言い方が…ん??
「え、告白じゃないの?」
「告白だけど?」
「だって今、セックスって…え?」
「『 節句を共に過ごせるような、親しい関係になりませんか?』って言おうとしたんだけどなぁ?」
「節句を共に…?」
「かっこいい決め台詞だと思ったんだけどな~。ちゃんは『せっく』だけ聞いてそんなエッチなこと想像してたんだー。困った子だねぇ。」
そう言って銀さんは意地悪く笑った。
…してやられた。
そう思った瞬間、告白を待っていた時よりも顔が熱くなるを感じた。
赤くなっているのを見られたくなくて、俯いて両手で顔を覆う。
そりゃいつもと違って、おしゃれにワインなんか用意して顔真っ赤にされたら誰だって勘違いするに決まってるじゃない。
「銀さん、ずるいよ…。そんな奥ゆかしい告白、銀さんがすると思わないじゃん。」
私はそう言い返すので精一杯だった。
「えぇ?それ、俺のせいにしちゃうの?」
銀さんは変わらず、ニヤニヤした顔で私の方を見ている。
「照れた顔を見せやがれ」なんていう銀さんに、
私はせめてもの抵抗として顔をあげなかった。