第1章 笑顔が美しい君
僕は幼なじみのかっちゃんにいじめられ、公園のベンチで痛みが治まるまで休んでいた。
僕は無個性で、何も出来ない人間だ。この超能力社会に適さない人間だ。
僕もヒーローという夢を見てはいけないのか。
こんな僕でもオールマイトみたいに笑顔で居てはいけないのか。
僕は鞄の中からノートを出した。僕がずっと書き続けた『将来のためのヒーロー分析』ノートだ。
僕はノートをペラペラと捲っていた。長年愛用しているため、ボロボロになっている。
『へぇー、ヒーロー分析ノートか。すごいね!』
突然、可愛らしい声がして顔を上げた。そこには、美しい少女が居た。
『私はよくヴィランばっかり見てるから分析出来るかも』
彼女の笑顔の美しさに僕はただ固まっていた。
『あっ、突然話しかけてびっくりしちゃったよね?』
「いやぁ、そんなことないよ。これを褒めてくれる人なんていないから。だって僕は、無個性だから」
僕は顔を伏せた。すると、彼女が僕の傷が付いた頬に触れた。
『いじめ受けてるの?みんなヒーロー志望なのに酷いことするね。私も無個性だよ』
「えっ、そうなんだ!」
彼女も同じ無個性ということに、僕は親近感を覚えた。