a fragrant olive【ONE PIECE】
第11章 a fragrant olive
私はいつも行く野原ではなく、金木犀の木がある場所を訪れていた。
彼が再び旅立って1年以上、前と同じく連絡はない。
先生の元にも連絡はないみたいらしい。
あの日聞こえた彼の声。
あれ以来、彼の声は聞こえていない。
きっと彼は生きている。
私はそう信じ続けていた。
季節は秋になり、金木犀には花が咲き甘い匂いが漂っていた。
木の下の座ろうと歩こうとした時
「リオ」
後ろから声が聞こえた。
この声は。私が大好きな声。
私が振り返る前にその人物は私を後ろから抱きしめた。
大きな身体、大きな手。そして煙草の匂い。
「あ…」
彼だ。彼が帰って来た。
「リオ…ただいま」
優しい彼の声に私は涙を浮かべる。
「っ…お、かえり…っ!」
私が彼にそう言うと彼に正面を向けられる。
「リオ、あの時の返事…聞かせてくれ」
耳元で低く、優しい声でそう尋ねられる。
“お前の残り人生、全部俺にくれ”
彼が旅発つ前に私に投げた言葉。
私の言葉は決まっている。
「はい、私のすべてあげます…大好き、ロシナンテさん」
私がそう言うと風が吹き、私達の周りに金木犀の香りが漂う。
「ありがとう」
彼はそう言うと私の唇に唇を重ねた。