a fragrant olive【ONE PIECE】
第10章 Purple anemone
「……あの日、俺はお前に言ったよな」
“全部終わらせてここに帰って来た時…さっきの言葉の返事を言う“
覚えている。忘れる事はない。
「……今言ってもいいか?」
「え…?」
彼の言葉と同時に私の頬に温かな手のぬくもりを感じる。
彼が私の頬に手を添えているのだろう。
「お前の初恋…俺なんかにくれてありがとう」
「はい…」
「お前に出会えて…こんなに他人を守りたいって思ったのも初めてだ。ずっと、ずっと守っていきてぇ」
「リオ、お前の事が好きだ」
彼の優しい、大好きな声でそう告げられた。
あぁ。今日はなんて日なんだろう。
こんなに幸せでいいのか。
彼に再会できて、彼と金木犀を見に来て
彼の思いを聞かせてもらった。
私は涙があふれ、止める事なんて出来なかった。
彼の指が私の目元で涙を拭うように動くのがわかる。
きっと少し困った顔をしているのだろう。
「リオ…」
彼が私の名前を呼んだ瞬間
「ん…っ」
私の唇に柔らかい感触が当たる。
これは彼の唇。私は彼にキスをされている
。
触れるだけのキス。
彼の優しさが
彼の愛情が
私に伝わる。
すぐに唇は離れていき、彼が私を強く抱きしめてくれる。
「リオ、今度は俺が質問する。この返事は…次に俺が帰って来た時に教えてくれ」
彼はそう言うと私の耳元に質問を投げかけた。
「……わかりました」
次帰って来る時は、きっとすべてが終わった時。
帰って来る保証はもちろん無い。
でも、私は待ち続ける。
私達はお互いに笑うと再び唇を重ねた。