a fragrant olive【ONE PIECE】
第10章 Purple anemone
レイモンドさんの家を出た私と彼は、いつも行く野原に来ていた。
「随分綺麗になったな」
彼は4年前のボコボコした道しか知らない。
「島の人が私の為に直してくれたんですよ。おかげで怪我しないで来ることが出来てます」
「そうか」
二人で野原の中に入るとごろんと隣同士で横になる。
彼が身に着けている黒いコートがモフモフしてとても気持ちいい。
モフモフしたものが好きなのでとても幸せな気分だ。
「島の人に良くしてもらってるんだな」
「ええとっても」
「……身体はどうなんだ?」
「レイモンドさんが細かく調べてくれて、とりあえず可能な治療は受けて体調崩して寝込む事はほとんど無くなりました。……でも、副作用の影響で普通の人よりは長生き出来ないかもしれないそうです」
私の言葉に彼はそうかと返事をして黙ってしまう。
黙ってしまった彼に私もそのまま無言になる。
「……リオ、ローの事どう思う?」
「ロー君?いい子だなって思いますよ」
「実はな…」
彼は私にロー君の事を教えてくれた。
白い町フレバンスの出身の事。
珀鉛病の事。
故郷も家族も政府に滅ぼされた事。
全てに絶望し、お兄さんの海賊団に入ってきたこと。
この世をすべて憎んだ目をしていた事。
治療法を探して旅をしていて、ここに戻ってきたこと。
あの小さな体には大きすぎる過去。
自分と同じく政府にすべてを奪われた子。
私はロー君の過去に涙を流した。