a fragrant olive【ONE PIECE】
第10章 Purple anemone
今まで珀鉛病と言っただけで恐れられ、拒絶されてきたロー。
だがここの人はローの姿を見ても嫌うどころかお菓子をあげたりと可愛がってくれている。
「私は医者だし、珀鉛病は中毒で伝染しないからね。この島の人も医者でなくても医療知識は普通の人よりあるから嫌ったりはしないよ」
「その…あんたもだけど…」
ローはちらりと彼女を見た。
なるほど、医者であるレイモンドよりも彼女を気にしていたのか。
「私は目が見えないからそもそも姿がどうであっても気にならないよ」
彼女はローに優しくそう言う。
「目…見えないのか?」
「ええ。光もわからないの。でも君の声は優しいからきっと心の優しい子なんだね。」
「なっ…!!俺は優しくねぇよ!」
ローは彼女の言葉に顔を真っ赤にして否定した。
かわいいやつめ。
「目、やっぱりダメなのか?」
「……はい。この4年で体調はずいぶん良くなりましたが…視力までは…」
「そうか…」
俺と彼女の雰囲気を感じ取ったレイモンドはパンッと手をたたく。
「久しぶりに会ったんだ!夜はごちそうにしよう!島のみんなにも声をかけてパーティーなんていいじゃないか!」
うんうん、そうだそうしようとレイモンドが言うと彼はローの手を握る。
「ロー君、客人の君には悪いが少し手伝ってくれないか?」
「あ……わ、わかった」
「二人は島でぶらぶら…いや野原でのんびりしておいで」
レイモンドはそう言うとローを連れて家を出ていった。
二人残された部屋でしばし無言が続くが
「…折角だから行きましょうか」
「…そうだな」
俺と彼女はそれぞれ立ち上がると身支度をして家を出た。