a fragrant olive【ONE PIECE】
第10章 Purple anemone
港に着くとにぎやかな声が聞こえた。
彼の姿は知らなくても彼の事を知らない島の人はいない。
私が来た時に一緒にいたので彼の事は私から話しているし、自分の立場を顧みないで私を助けてくれた彼を島の人は大変気に入っている。
おそらく彼が来たことでみんなが港に集まっているのだろう。
「ちょ、ちょっとどいて!リオ連れてきたから!」
レイモンドさんの言葉に周りの人が振り返り、私の姿を確認したのか早く早くと私達を通してくれる。
しばらく歩くとレイモンドさんが立ち止まり、私の手を離す。
「リオ」
その瞬間、彼の声が聞こえた。
4年ぶりの…あの声。
ずっと聞きたかった声。
低くて人懐っこい私が大好きな声。
「ろ、ロシナンテさん…!」
「まだ終わってないんだけど…とりあえずただいま」
嬉しそうな口調で話す彼に私はおかえりと言った。