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a fragrant olive【ONE PIECE】

第10章  Purple anemone


しばらく歩くと、いつもの野原に着く。
島の人は私が躓いて転ばないようにと野原までの道をきれいにしてくれている。
おかげで転ぶことなくたどり着ける。
初めて来たときは彼が躓いて野原に転がっていったのも今では良い思い出だ。


野原の中に入ると横になり、思いきり空気を吸う。

花の匂い
草の匂い
土の匂い

私が大好きな匂い。


でも一番は…金木犀の匂い。
彼との出会いの匂い。



この島にも1本だけ金木犀があるとレイモンドさんが教えてくれた。
一緒に行こうかと誘われたが、彼が帰ってきて時に取っておこうと断った。
4年の時間が経過しているが、彼は必ず帰ってくる。
その時、一緒に見に行くと決めていた。





「リオ!!リオー!!」
ふとレイモンドさんが私の名前を叫んでいる。すこし慌てたような強い口調で呼んでいるので起き上がった。
何かあったんだろう。声でわかる。

「レイモンドさん?」
「リオ!か、帰って来たんだ…!」

誰が帰って来たのだろうか?
地元の人が帰って来たくらいでレイモンドさんがここまで息を切らして呼びにくるとは思えない。

「まさか…」

この人のこの対応、まさか。まさか…
私の脳裏に4年前に聞いたきりの彼の声が木霊する。



「ロシナンテさんだ!!港にロシナンテさんが来ている!!」


彼が…帰って来た。
私は慌てて立ち上がるとレイモンドさんの助けを借り、急いで港へ向かった。
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