a fragrant olive【ONE PIECE】
第10章 Purple anemone
彼を見送って4年が経った。
すっかりこの島にも慣れ、島の人も目が見えない私のサポートをたくさんしてくれる。
体調もすっかり良くなり、視力が戻らない以外はとくに不便な事はない。
検査の結果、実験で飲まされていた薬の副作用で普通の人よりは長生きは出来ないとレイモンドさんから告げられている。
でもそれを知ってから自分が後悔しないように生活するようになった。
そして、レイモンドさんのおかげで先生と連絡を取ることもできた。
私が脱走した事で研究所は出されてしまい、怪我をした海兵を治療する以前のような忙しい毎日を送っているらしい。
私が無事にクロム島に着いた事や体調が良くなったことを伝えると電話口で泣いてくれた。
先生によると彼は今、お兄さんの海賊団で最高幹部らしい。
どんな立場でも関係ない。
私には彼を待つという大きな仕事がある。
彼が帰って来た時、おかえりと言うのだ。
「リオ、今日はどこに行くんだい?」
出かける準備をしていた私にレイモンドさんが声をかける。
「いつもの野原。そこでゴロゴロしたいから夕方までには帰ってきます」
「うん。気を付けて」
私はいってきますと言い、外に出る。
杖が無いと歩けないのは変わらないけど、海軍にいた頃よりは長い距離を一人で歩けるようになった。
彼と約束をした野原で横になるのは私の日課だ。