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a fragrant olive【ONE PIECE】

第9章 2人の旅路


彼女の目からボロボロと大粒の涙が流れる。それにつられて俺も涙を流し続ける。
俺が泣いていることに気づいたのか彼女の小さな手が俺の頬にあてられる。
「私の為に泣いてくれるあなたに出会えたから…私は、何も憎んでませんよ」
涙を流しながら笑う彼女があまりに愛おしくて、俺は彼女を抱きしめた。
「ロシナンテさん、私は今幸せです」



生まれて初めて恋をしたから。

彼女はそう、小さくつぶやいた。










どのくらい二人で泣いただろうか。
多分、お互い顔は涙でぐちゃぐちゃだ。
彼が私に今までの事を謝ってくれた。でも私にとって彼は恩人。
そして、想い人。
そういえば、さっき思わず言ってしまった言葉は彼に届いてしまっただろうか。
あと彼は私をずっと抱きしめているのだが…いつ離してくれるのかな
そんなことを考えていたら彼が手を緩め、解放された。

「…リオ、俺の昔話を聞いてほしい」




そう言って彼から語られた過去は壮絶だった。


マリージョア出身、天竜人だった事。
父が人間として生きると決意し、一家で人間として生活を始めたこと。
人間に酷い仕打ちを受けたこと。
兄と共にごみを漁り、母は病で亡くなった事。
そして、兄によって父を殺され海軍に拾われた事。


自分の境遇なんて可愛いと思ってしまうほどの彼の過去。
彼はそれだけの事をされて、どうしてこんなにも優しいのか。
きっとご両親の愛情、そして海軍で拾ってくれたセンゴク元帥の愛情をいっぱい受けたんだろう。



そして、改めて自分は弟として兄を止めないといけないと話してくれた。
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