a fragrant olive【ONE PIECE】
第9章 2人の旅路
「わ、悪い!!怪我ねぇか?!」
俺が慌てて腕の中にいる彼女を見ると
「ふっ…ふふふ…っあはははっ」
彼女は口を開けて大笑いしている。
「リオ?」
「す、すみませっ…ちょっと怖かったけど楽しくて…」
笑いすぎて涙目になっている彼女に俺もつられて笑い、体を起こす。
「花がすごいぞリオ。匂いでわかるか?」
「はい!草と花の良い匂いがいっぱいします」
彼女は俺から離れ、四つん這いで野原を移動し、再び横になる。
「ここは…故郷を思い出します。こんな風に毎日野原に横になって過ごして、両親に迎えに来てもらって…父さんと母さんと手を繋いで帰ったんです」
彼女は思い出すようにそう呟く。
俺も彼女の隣に移動すると同じように横になる。
「ロシナンテさん、今日は青空ですか?」
「あぁ!綿あめみたいな雲がある!」
「ふふふ、きっと綺麗なんだろうな…」
彼女はそう言うと空に向かって手を伸ばす。
彼女の瞳には青空が写っているが、彼女自身には見えていない。
きっと昔故郷で見た青空を思い出しているんだろう。
この島に来てよかった。